2001年の各地からの情報

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緊急要請『このままでは丹波マンガン記念館が閉鎖されます!!』

熊本からの緊急のお願い

2年間の準備をかけた「兵庫大会」終わる!(2001年11月30日追加)

第8回全朝教(全外教)山陰セミナーを終えて(2001年11月30日追加)

ヒガシマル醤油の排外意識をあおる新聞広告 要望により内容を改善!(2001年8月16日追加)

第7回全朝教(全外教)セミナーに参加して(2001年1月11日追加)
 


2年間の準備をかけた「兵庫大会」終わる!

第22回全朝教(全外教)地元実行委員会・辻本久夫
1、全体の参加者数について
 「第22回兵庫大会」の参加者数は、1379人となった。前回、95年8月の「第16回兵庫大会」よりも若干参加者数は少なかったものの、参加者のアンケート等による反応は、一様にフィールドワーク、地元特別報告等を賞賛するものが多かった。地元のスタッフとしては、2年間の準備をして、まだまだ不十分さの気持ちは残っているが、精一杯やりきったという気持ちである。
2、府県ごとの参加者数について
 研究集会参加者は、兵庫を含め、20都府県より参加。有券参加者数の内訳は、兵庫県約700人、奈良県約200人、大阪府約100人、神奈川県・京都府約60人、三重県約50人、福岡県・滋賀県約40人、広島30人…と続く。特に、今回は九州からの参加が増えている。また、「ニューカマー」の多い山梨県の参加が増えたことも特徴であろう。
 残念なことは、過去の大会に比べると、地元兵庫県からの参加者数が700人程度とやや少なかったことである(兵庫の内訳では、教育委員会職員の参加が増えた)。
3、フィールドワークの参加者数について
 兵庫大会では、フィールドワークを6コース設定した。大型貸切バス(54人定員)でまわるものを3コース(8月18日実施分:フィールドワーク1)、そして電車・徒歩でまわるものを3コース(8月21日実施分:フィールドワーク2、募集各30人)である。
 「フィールドワーク1」では、地域や時代区分もちがうところを設定した。コース1)は、日本海(韓国では東海)文化が残る但馬地域。コース2)は、近代の朝鮮人強制連行・強制労働にかかわる内容で六甲山北側の三田・加西・社地域。コース3)は、朝鮮通信使に的を絞った内容で、兵庫の西端にある御津町室津の資料館、通信使が書いた「扁額」が残る福崎町・須磨区の寺院、そして文献資料しか残っていない兵庫津跡。 申し込み状況は、「コース1」の2)と3)はすぐに定員を超す申し込みがあり、お断りをする状況。1)は遠いためか充足率が約7割。フィールドワーク1では3コースあわせて定員150人で、参加者は140人。
 「フィールドワーク2」のコース4)は、テーマが「武庫川と朝鮮人」で朝鮮人が従事した河川工事・鉄道工事跡や、朝鮮人集落形成・学校建設跡を歩く。コース5)は、「神戸の異文化」をテーマに神戸市内(三宮周辺)にあるユダヤ教などの宗教寺院数箇所と華僑博物館を見学。この4)と5)も受付から1ヶ月もしないうちに定員をオーバーしたためお断りをする。コース6)は「震災と外国人」をテーマに、95年の震災後誕生した日本人・外国人との共生社会を志向する神戸市長田区の市民団体(NPO)を訪ね、いろんなとりくみを聞く。初めて事故発生。参加者の一人が、寺院の階段を下っている時に、軽いねんざをしたが、たいしたことないと思い家に帰ったが、翌日は歩けず。そして大会本部に連絡が入る。イヴェント保険加入のため、すぐさま保険会社に連絡して、治療費等の問題は保険で。
 今回のフィールドワーク、参加者からは好評だったと思う。大会終了後も、お礼の手紙が数点届く。詳しくは、あとの「フィールドワーク報告」をご覧いただきたい。
4、地元実行委員会結成のとりくみ
 受け入れ体制つくりのため、兵庫県外教が事務局をする形で、県内22団体に加入してもらった「地元実行委員会」がつくれた。そして、ある団体からの提案により効率的な運営をするために7団体からの「拡大事務局会」もつくる。これができたことで、大会事務局を担う県外教は大助かりとなった。
 拡大事務局会議は毎月1回、地元実行委員会は3ヶ月のペースで開いた。また、より関心を持ってもらうために隔月にA4版裏表二頁の「兵庫大会通信」を各8000部、全7回作成し、各構成団体などに組織配布してもらう。実に、多くの団体に参加していただいた。感謝の気持ちでいっぱいである。このつながりが、新しい兵庫でのネットワーク構築の基になることを願っている。
(構成団体)
甲南大学、在日コリアン人権協会・兵庫、部落解放同盟兵庫県連合会、兵庫部落解放研究所、兵庫県教職員組合、兵庫高等学校教職員組合、兵庫在日韓国朝鮮人教育を考える会、神戸YWCA、神戸学生青年センター、兵庫県在日外国人保護者の会、在日韓国青年連合、兵庫外国人学校連絡会、神戸華僑総会、KOBE外国人支援ネットワーク、NGO外国人救援ネット、神戸YMCA、多文化共生センターひょうご、自治労兵庫県本部、神戸在日韓国・朝鮮人児童生徒の保護者会、在日本朝鮮人教職員同盟兵庫県委員会、部落解放兵庫県民共闘会議、兵庫県外教
(順不同)
5、県内の参加体制づくり
 県内の参加体制については、5ヶ月前で、次年度の行事予定等を決める3月に「大会チラシ」を県内の全幼稚園・小中高校に行き届くよう各教育委員会を通じて配布してもらう。その際、送り状に「参加体制の確保」を書き、行事・研修予定の一つに入れてもらうよう働きかけた。
 また、3ヶ月前の5月には、同様の方法で「開催要項」を配布していただく。その際に、各学校園から1名以上の参加があるようにと各市教委・学校に文書依頼をする。1ヶ月前の7月には、県南部の市教育委員会を訪問し、各学校と教育委員会からの参加をお願いする。県教育委員会はじめ、各市町教育委員会では、校長会・教頭会等で兵庫大会参加を勧めていただく。しかしながら、結果的には地元からの、特に幼稚園・小中高校からの参加が少なかった。地元では、この原因について十分に話しあって検討していきたい。
6、マスコミの対応について
 マスコミへの取材については、兵庫大会開催に関心を寄せる新聞記者が少なからずいたが、本年の兵庫には、全国ニュースとなった事件が続発したため、大会記事はデスクの横に置かれたままであったと、後日になって記者は申し訳なさそうに言った。池田小学校児童殺害事件、尼崎の小学生の母親殺害事件、参議院・兵庫知事選挙、尼崎の子ども虐殺事件などであった。大会前日になってはじめて記事が載せられた。
7、後援と来賓、祝辞
1)まず県内の後援名義は、20市・市教育委員会、県と市の国際交流協会や各校長会など23団体からいただいた。そして開会行事には、県国際局長、県教委教育次長など25団体から役員等が出席してくれた。全国後援団体では、5団体中、3団体が出席してくれた。
2)当日の主催者挨拶では、藤原史朗全朝教代表と安保則夫地元実行委員長が行い、来賓挨拶は、全国キリスト教学校人権教育研究協議会と日本教職員組合。地元では辻井国際局長、陰山県教育次長・山口神戸市教教委指導部長と、計5人から激励の挨拶をいただいた。挨拶の時間が予定以上にかかってしまったことが残念であった。
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第8回全朝教(全外教)山陰セミナーを終えて

鳥取県外教 三谷 昇
 
 去る5月12日に、鳥取県米子市文化ホールで開催した「第8回全朝教(全外教)山陰セミナー」は、山陰地方初めてのセミナーということもあり、全朝教(全外教)運動においても、また鳥取・島根両県で多文化共生教育を進める運動としても大きな一歩となり、21世紀初頭を飾る意義深い会となりました。
 今回のセミナーには、全国各地から学校関係者・行政関係者・保護者・在日コリアンを初めとした外国人・市民の方々が延350名参加されました。フィールドワークに40名、シンポジュウムに250名、全国交流会に40名の参加があり、盛会の内に終了することができました。鳥取県内での開催としては、在日外国人の教育問題に限った研究集会としては過去に例のない規模の会となりました。
 開催にあたって、私たち鳥取県外教と総聯・民団のそれぞれの鳥取県本部の三者が地元実行委員会を結成しましたが、このことも過去に例のないことであり、今後在日問題へのとりくみが一層強固なものになると思います。また、鳥取・島根両県の県・教育委員会、各市町村・教育委員会、各人権団体など多数の団体に後援していただくこともできました。
 今回のセミナーでは、フィールドワークや講演・シンポジウムの中で、多くの在日コリアンを初めとした外国人の思い・願いについて接することもできましたし、現実に抱えるさまざまな課題も明確にすることができました。
 フィールドワークでは、米子空港(自衛隊美保基地)周辺に残る「旧海軍航空隊美保基地の掩体壕と朝鮮人強制労働跡地」「朝鮮人によってつくられた壕跡」などを見学しました。現在ソウル便が就航している米子空港の姿と重ねあわせながら考えることのできたひとときでした。 講演では、山陰地方の在日問題研究では第一人者の島根大学名誉教授の内藤正中先生に、「山陰の在日コリアン」をテーマにお話していただきました。特に、山陰両県における在日コリアンの意識調査を元に、戦前戦後の中での生活・教育・現在の課題といった点についてくわしく説明され、多文化共生教育の必要性を強く訴えられました。
 シンポジウムでは、鳥取県教育委員会の木村さん、小学校教員の黒多さん、在日コリアン保護者の李さん、そして全朝教副会長の金井さんがパネラーとして、それぞれの立場からの発言がありました。
 この中で、鳥取県内の公立学校に通う外国籍の子ども達が170名近くいる実態も初めて明らかにされました。また、国籍条項撤廃にかかわる県職員の採用状況や在日コリアンの保護者の思いも報告されました。山陰地方での山積する在日外国人問題の課題は、全国各地の共通的な課題であり、「学校に在籍する子どもの有無や人数でないこと」「今までとりくまれていない学校現場での早急な活動・実践が必要であること」が、セミナーに参加された全員の思いとして確認できたことは、今回開催された一番の成果であったと思います。
 しかし、鳥取県内の状況を考えると。まだ多くの課題を残していると言えます。多文化共生教育を真正面からとりくむべき外国籍の子ども達のいる学校や「国際理解・交流」を学校教育の目標・課題と位置付けている多くの学校からの参加者があまりにも少なかったことは、人権条例を制定している県の教育の姿・あり方として、重く受けとめなければならない課題だと思います。
 「国際理解・交流」といったとりくみは多くの学校で進められているにもかかわらず、在籍する外国籍やダブルの子ども達の教育権や進路保障といった視点に立っての意識や関心はいまだ低く、息を潜めるように学校で生活している子ども達の思いを考えるにつけ、より一層の私たちのとりくみの重要性・緊急性を感じました。
 最後に、このセミナーを契機にして、セミナーで明らかになった課題の解決に向けて、「在日外国人の教育方針・指針」制定や「在日問題の研修・啓発」の具体的実施、「在日の子ども達の交流の場」の開設などに向け、早急にとりくみ、多文化共生教育の新たな一歩を鳥取の地に刻んでいきたいと思っているところです。
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ヒガシマル醤油の排外意識をあおる新聞広告 要望により内容を改善!

 在日コリアン人権協会・兵庫は、朝日新聞等に掲載されたヒガシマル醤油の広告が、一部在日外国人の人権に配慮を欠くとして、2001年5月に改善の要望書を送付しました。


要 望 書

 私は朝日新聞を購読していますが、以前より貴社の進運広告について、一部納得できない部分があり、意見を申し上げたいと思います。

 「淡口」などの漢字を「日本人なら、読んでほしい」と掲載してある広告ですが、いまの日本社会にはそぐわないのではないでしょうか。現在、兵庫県下には人口の1.8%、約10万人の外国人が住んでいます。また、日本生まれの在日韓国・朝鮮人2世3世が多くを占めており、全国では約66万人が日本に永住しています。そして、そのほとんどが日本の義務教育を受けているのも事実です。

 残念ながら、貴社には、漢字が読める在日外国人や日本人以外の日本の味、醤油を好む外国人の存在が見えていないのではないでしょうか。世界的にも、環境や人権の視点なしの企業活動は成り立たなくなっています。現在に広告を続けることは、在日外国人の人権に対する配慮に欠けることであり、不快感をも与えており、貴社にとってもマイナスイメージであることに気づいてほしいと思います。

 在日外国人の人権、日本社会の排外主義の問題などについて、貴社の広告に問題がないかを検討していただき、改善をお願いしたいと思います。


 しかし、ヒガシマル醤油からの文書回答は、在日外国人の人権侵害は排他主義は否定しながらも、「単なる言葉の遊び」としてとらえてほしいと広告内容の改善には答えていませんでした。また、人権協会以外からも同様の指摘を受けていることも明らかにし、同じ説明で納得してもらったとの記載もありました。

 人権協会は、文書回答では不充分として、担当の広告部長に再度電話で内容改善を申し入れ、広告部長は「広告代理店の契約の関係もあるので時間がほしい」と答え、改善の検討を約束しました。そして、6月中旬の広告から「日本人なら、読んでほしい」の標記を「漢字で味わう、日本の旬」 に変更しました。

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第7回全朝教(全外教)セミナーに参加して

京都・川北浩史
 12月9日、底冷えの京都、龍谷大学でセミナーが行われました。
 最初は、講師の田中宏先生が風邪で声が出にくいとのことで、「新渡日」の方々にかかわる問題についてのVTRを視聴した後、先生のお話を聞きました。
 「新渡日」の人々への差別や「外国人」の地方参政権について、風邪のために出にくい声で熱っぽく話されたのが印象に残っています。その中で特に、「外国」人殺害をはじめとする差別事件の多さにあらためて驚くとともに、それらの事件に対してあまりに注目してこなかった自分にあきれました。
 私の住んでいる滋賀県湖南地域にも、「新渡日」の人達が多く生活しているはずなのに、その人達とのかかわりがない(自らかかわろうとしていないだけにすぎないだけですが)ことをよいことに、その人達の生活を見ていないのです。
 さらに参政権については、1945年以前に国政選挙を含め選挙権被選挙権が認められていたこと、当時の選挙における宣伝ビラで候補者の氏名にハングルのふりがながつけられていたことなど、私達が知らなければならないことが多いことにも驚きました。
 日本国憲法はその文面を見る限り、日本国民だけの権利を守っているのではなく、日本に住んでいるすべての住民を守っているはずです。私達自身が憲法をないがしろにしてきた証拠のようなことだと思いました。
 田中先生の講演のあと、シンポジウムの中で四人の方々のお話を聞くことができました。
 まず大学生である張吉秀さんと朴豊子さん、お二人からは、日本という「異国」の地で朝鮮民族として生まれたことによって起こるさまざまな問題(国籍のこと、二つの名前といったことも含め)から決して逃げることなく立ち向かい、「自分探し」を続けていこうという姿勢に学ばなければならないことが多いと感じました。
 当たり前のように日本で生まれ、国のこと国籍のことを何も考えず過ごしてきている自分が、二人のような生き方を見つめ考えていくことではじめて自らのアイデンティティーを確立するための思考を巡らせることができるのだと思いました。
 康玲子さんからは、小中高それぞれの保護者を経験された立場で、教育現場にかかわるものには耳の痛い話を多く聞きました。地域の小中高校間の連携のなさとともに、学校教育の中で、どのような人間の育成をめざしているのかというビジョンがはっきりしていないという指摘は強烈でした。
 また、人権教育全般についても、「差別をしない人間」ではなく、「差別をなくす人間」つまり「差別を見抜く目を持ち、差別に立ち向かう人間を育てていかなくてはならない」と話されました。私自身「差別をしない人間」にとどまっているのではないかと自問させられました。
 最後に奈良県立高取高等学校の桝井久先生より、奈良県における「新渡日」生徒の現状ととりくみについて話を聞きました。時間の関係で十分に話をお聞きすることはできなかったのですが、自分で考えていた以上に、「新渡日」の子どもたちの問題が現場で大きいものであるとともに、この問題を考えることで、現在のさまざまな教育課題を乗り越えていく視座をもてるのではないかということを感じました。
 教育現場でともすると目先の仕事に追われ、教育現場で働くものとして当然考えなければならないこと、やらねばならないことを忘れてしまいがちです。また現場をとりまく状況というより、私達日本に住む人々にとって、とてもよいとは言えません。
 この状況を変えていくために、教育現場にいる者として、そして地域住民として、また日本国籍を持つ者として、何をすべきなのか、五人の方々のお話から、今一度考えるきっかけをいただいたような気がします。
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