2000年の各地からの情報

各地からの情報のページにもどる
トップページにもどる

 
市立尼崎高校同胞の会の『ザ・テレビジョン』への質問状 (2000年12月22日追加)

お願い 嘆願書に名前を連ねてくださいませんか2000年12月14日追加)終了しました!

ヤマト運輸株式会社のアルバイト採用時の国籍条項にかかわる抗議文(2000年11月14日追加)

直木賞作品『Go』と「朝鮮籍」をめぐる誤解について(2000年10月7日追加)

兵庫県教育委員会が「外国人児童生徒にかかわる教育指針」をだす(2000年9月2日追加)

直木賞受賞作品「GO」の偏見を助長する表現の訂正要請(2000年9月2日追加)

石原都知事差別発言とテレビ朝日差別報道に対するとりくみ(2000年6月21日追加)

石原「3国人」発言・柿本「支那事変」発言・森「神の国」発言に対する奈良のとりくみ(2000年6月17日追加)

石原東京都知事にかかわる抗議文(2000年5月20日〜)

第6回全朝教(全外教)セミナーを終えて

奈良・在日朝鮮人教育を考える会の名称変更

姫路でのとりくみ

石原慎太郎東京都知事に抗議のメールを送ろう!

第5回全朝教(全外教)セミナーを終えて

金八先生があやまる?(2000年1月25日付神戸新聞)




市立尼崎高校同胞の会の『ザ・テレビジョン』への質問状
『ザ・テレビジョン』編集局様
2000年12月15日
「今世紀最後の日本人同士の世界戦!」という報道に対する質問
尼崎市立尼崎高等学校 在日外国人生徒同胞の会
部長 李 俊 治
 はじめまして、私たちは市立尼崎高等学校の在日韓国・朝鮮人をはじめとする、在日外国人生徒の学内における研究会です。自分たちの民族の文化や歴史、在日外国人の人権について考え、いろいろと活動しています。

 今月6月に発売された貴社の週刊誌『ザ・テレビジョン』の53ページに記載されている、プロボクシングWBC世界スーパーフライ級タイトルマッチ〔徳山昌守ラ名護明彦〕の欄の、「日本人同士」という記事についてお伺いします。
 今年8月に行われた世界タイトルの時に、在日朝鮮人ということでスポンサーがつかなかったことや、世界タイトルにもかかわらずテレビ中継がなかったことなどを、ニュースステーションをはじめとするテレビ番組などで放送されて、あれだけ徳山昌守 本名 洪昌守さんが在日朝鮮人であるということが公表されながら、なぜ「日本人同士」という記載が出てくるのでしょうか。私たちは在日朝鮮人として、この記事には問題があると思います。
 『ザ・テレビジョン』は、今もっともよく売れている週刊誌であり、この記事を見たほとんどの日本人の方が、洪昌守さんのことを在日朝鮮人ではなく日本人だと思いこんでしまうのではないでしょうか。
 この質問についてのご返答を、ぜひ1週間以内にしていただくようお願いします。学校は冬休みになりますので、連絡は下記の副部長の朴勝浩まで下さい。

連絡先 ◯◯

同胞や良識のあるみなさんへ
 この掲載時について、質問・抗議などを『ザ・テレビジョン』あてに出して下さい。私たちは、この質問からはじめていこうと思っています。

『ザ・テレビジョン』編集部
住所 〒102-8077 東京都千代田区富士見
電話 03-3238-8528,06-6444-5780

最初にもどる


お願い 嘆願書に名前を連ねて下さいませんかご協力ありがとうございました。とりまとめは終了しました
 
 阿久澤@姫路市です。姫路に隣接する龍野市に暮らしてきたペルー人、マリオさんの一家は、昨年11月、神戸入管に出頭し、法務大臣の在留許可を求めました。夫婦は7年半にわたって龍野市の皮革工場ではたらき、長女は地元小学校の6年生、日本で生まれた次女・三女は地元保育園に通っています。
 しかし、今年の6月に入管からは、「不許可」と「強制退去」の裁決が下されました。そこで両親は、子どものことを第一に、日本での在留を強く希望し、法務大臣を相手に、強制退去令の取り消しを求める訴訟を8月に起こしました。現在は9人の弁護団とともに、神戸外国人救援ネットや、地元の人びと、教会関係者、また姫路では「姫路発世界」といった市民グループが支援を続けています。
 しかしながら、6月の裁決が下されたさいに、子どもと妻は仮放免が認められたものの、夫であり父親であるマリオさんは、その場で拘束され、西日本入国管理センターに収容されたままです。7月に、地元の人々や家族を支える人々からの嘆願書が提出され、仮放免を求めましたが、それも却下されたまま、マリオさんは収容されたままに置かれています。
 裁判は第一回公判が、先日11月14日に行われ、始まったばかりです。これから長い間、裁判を続けていくなかで、家族が別々の状況に置かれたままで、精神的苦痛をあえて与え続けることは、非常に問題があると思います。
 それは、妻のソニアさんに、経済的苦労や精神的・肉体的な疲れ、子どもたちに不安を与え続けることの問題にとどまらず、それは彼らが公正な裁判を受けることを妨害する行為でもあると私は考えています。
 そこで、再度、夫であり父親であるマリオ・アリオラ・ヒラルドさんの仮放免を許可することを求めて、嘆願書を提出することになりました。ご協力いただける場合
1、名前を連ねてもよい、といっていただける方は、(1)お名前と(2)住所、(3)載せても構わなければ所属を阿久澤あてにお送りいただけますか。
2、もし、ご自身で、嘆願書の文章を数行でもお書きいただける方は、文章とともに、お名前、住所、載せて構わなければ所属を阿久澤あてにお送りください。
★  ★  ★

嘆願書


 龍野市のマリオ・アリオラ・ヒラルドさんの仮放免を、ここに再び求めて嘆願書を提出いたします。
 一家の特別在留許可を求める申請は、6月に却下され、その取り消しを求める行政訴訟が始まったばかりです。このような形で、夫であり、父であるマリオさんを拘束しつづけることは、家族の暮らしを経済的に圧迫し、また精神的苦痛を与え、肉体的な疲労を増大させることはもちろん、そうした圧力を与えることによって、公正な裁判を受ける権利を侵害するものです。市民として、こうした権利の侵害は、外国人であるマリオさんだけの問題でなく、自分自身の権利侵害の問題として受けとめたいと思います。
 
 
 
2000年11月20日
最初にもどる

ヤマト運輸株式会社のアルバイト採用時の国籍条項にかかわる抗議文
 
 
ヤマト運輸株式会社
取締役社長 有冨慶二様
 
 前略
 はじめてお手紙を出させていただきました。私たちは、全国在日朝鮮人(外国人)教育研究協議会という教職員を中心とした全国組織のものです。1979年から全国的なとりくみをすすめてきました。とりわけ、教育において日本人が持つ歪められた朝鮮観をただし、子どもたちの進路保障を実現するため「国籍条項」をはじめとする差別の撤廃を訴えています。
 さて、2000年10月17日(火曜日)付けの東京新聞連載の『キョンナムのこんにちはこころの旅人さん』を読ませていただきました。作家朴慶南さんにも確認をし、貴社での出来事と聞かせていただきました。これが事実なら許すことのできない差別事件です。早急に責任者による別紙質問に答えていただき、今後二度とこのような差別が起こらないための徹底した社内でのとりくみを期待します。
 

2000年10月18日
全国在日朝鮮人(外国人)教育研究協議会
会長 藤原史朗

質問書


1、貴社は、こうした採用における民族差別の実態を把握されているのか、お答えいただきたい。
2、連載にある「女性担当者に履歴書を渡したとたん、『韓国人(外国人ダメ!)』とすぐさま突き返した」は事実であるのか調査し、お答えいただきたい。
3、朴慶南さん、その友人が事情を聞かれた営業所の人の「三年半ほど前、働いていたひとりの韓国人留学生が問題を起こしたからだ」という理由は事実であるのか調査し、お答えいただきたい。
4、2および3の質問が事実であるならば、こうした事態を本社としてどうとらえておられるか、お答えいただきたい。
5、貴社における外国籍の雇用状況を明らかにされたい。
以上


参考 朴慶南さんの友人の抗議文に対するヤマト運輸株式会社の回答
 

平成12年10月30日
◯様
東京都品川区八潮3-2-35
ヤマト運輸株式会社
新東京主管支店長 三上忠夫
拝啓 平素は当社が格別なお引き立てを賜り厚く御礼申し上げます。
 さて、このたびは当社の新東京ベースにおいて作業アルバイトの求人募集の際、当社採用担当者の不適切な言動により、ご子息様に対し大変ご不快とご無念の気持ちを与えましたことにつきまして、改めてここに深くおわび申し上げます。
 先般、当ベースの責任者として事情説明とおわびにお伺いさせていただきましたが、その際の当社のアルバイト採用選考規程に悖る今回の出来事についての私どもの真摯な反省とお詫びについて、◯様と御同席の皆様に十分ご納得いただくことができたかどうか大変心配しております。
 当社は、現在8万人を越える数多くの社員やアルバイトの皆様の献身的な努力と協力により運営されています。そのため、社員等の採用選考につきましても常に厳正に行うべく努力をしてきたつもりでおりましたが、今回のような不行き届きの点があり、ご子息様はじめ皆様に対し大変なご迷惑とご心配をおかけいたしましたこと、誠に申しわけございませんでした。
 当社では、今回の◯様からのお申し出を貴重な教訓とさせていただき、今後とも実際に採用に携わる担当者のみならず、当社社員への指導・教育をさらに徹底してまいる所存でございます。
 なお、採用担当者本人から話を直接聞いてみたい、との◯様からのお申し出の件でございますが、私はこの度のことは本人の責任というよりは会社の指導不足により発生したものと考えており、本人につきましてはご容赦いただきたいと存じます。
 以上のとおり、何卒よろしくご理解賜りますようお願い申し上げます。
 終わりに、ご子息様につきましては今回の件にめげず、ますますご活躍いただきますようあらためてお父様よりお励ましの言葉を書けていただければ、私どもにも望外の幸いでございます。
敬具


平成12年10月30日
◯様ご子息様

東京都品川区八潮3-2-35
ヤマト運輸株式会社
新東京主管支店長 三上忠夫
 拝啓 この度は当社の新東京ベースにおいて作業アルバイトの求人募集の際、当社採用担当者の不適切な言動により、あなた様に大変ご不快とご無念の気持ちを与えましたことにつきましては、当ベースの責任者としてあらためて深くお詫び申し上げます。
 当社のアルバイト採用選考にあたっては、あくまでご本人の能力や適性等によって判断することとなっており、この度のあなた様への対応は、当社の採用選考規程にも悖ることであり、日頃の私の指導・監督不足を深く反省しております。
 ここに至り、あなた様には大変心苦しい申し出ではありますが、当社は誤りを正すことにはやぶさかではございませんので、もし、あなた様が再度当社の求人募集に応募なさるご意志がございましたらご連絡いただきたいと存じます。当社では、あらためて当社規定に基づき厳正に採用選考を行いたいと思っております。
 当社は、今回の不幸な出来事を貴重な教訓とさせていただき、当社社員への指導・教育をさらに徹底してまいる所存ですので、何卒ご理解を賜りたいと思います。
 終わりに、あなた様の今後ますますのご活躍をこころよりお祈りしております。
敬具
 

最初にもどる


直木賞作品『Go』と「朝鮮籍」をめぐる誤解について

直木賞作品『Go』と「朝鮮籍」をめぐる誤解

全朝教(全外教)副会長 金井英樹
 本年7月、第123回直木賞に金城一紀著『Go』が選ばれた。若い世代の在日コリアンと日本人の恋愛を描いた青春小説であり、かつてない在日文学として注目を集めている。

 私たち全朝教(全外教)の事務局にも脅迫めいた電話やFAXが送られてくる時代風潮の中での受賞を非常に喜ばしく思う。ところが、この小説には看過でない事実誤認が存在する。小説の冒頭、作中人物の「オヤジ」に関する叙述で、歴史的事実に相違する点があるのである。それを私たち(同じ頃に兵庫の小西さんも別途、同様のメールを送付された)は、作者と版元の講談社に指摘しているのだが、いっこうに埒があかない。作品が売れれば売れるほど誤解が拡大するので、ここに整理しておきたい。
まず、作品から当該箇所を引用する(『Go』7頁〜8頁)。

 日本にいてもいいけど、どちらかの国籍を選べ、と迫られたオヤジは朝鮮籍を選ぶことにした。理由は、北朝鮮が貧乏人に優しい(はずの)マルクス主義を掲げていることと、日本にいる<朝鮮人(韓国人)>に対して韓国政府より気遣ってくれたから。そんなわけで、オヤジは朝鮮籍を持つ、いわゆる<在日朝鮮人>になった。
 この叙述からは、次のような誤解が生ずることは想像に難くない。一つは、「オヤジ」のこの時代すなわち日本の敗戦後に「国籍選択権」があったかのような印象を与えること、もう一つは、朝鮮籍は「北朝鮮籍」であるという、すでに広く日本社会に存在している誤解を助長させること、の二点である。『Go』が優れた作品だけに惜しまれてならない。
 私たちの指摘に対して、作者と講談社文芸局長の最初の回答は次のようなものであった。
 作品は<「誤解・偏見の追認」が生じないよう書かれたものと認識>されており、< そうすべき理由がある以外、表現を改めたり、解説文を付けたり>できない、と。
 このような回答に対して、私は、以下のような文章を送った。
 小説中の<ある部分が歴史的事実に反し、しかもそれがいまも日本社会で広く誤解されている事柄であれば、訂正するのが当然なのではないでしょうか >として、5つの問いを投げかけた。まず、基本的な事実として
1、文中のオヤジの時代、国籍は自由に選べたのですか。
2、朝鮮籍は日本において国籍として正式に認知されていますか。
3、朝鮮籍は、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)籍のことですか。
という三点と、当該箇所の文章からは
4、「誤解・偏見の追認」は生じませんか。
5、改める「理由」はありませんか。
という2点である。「追伸」には<私たちは、『Go』がいい作品だけに多くの読者に読まれてほしいと願うと同時に、偏見や誤解が拡大・再生産されることをおそれています >とも記した。
 しかし、送られてきた再回答は<この作品は大前提としてフィクション>< 創作された「オヤジ」の思想信条などは、その人物一人のもの><表現は読む人によって様々な解釈が出来 >云々などという言わずもがなのことを縷々述べた後で、<今回の場合、著者の側が明らかに差別・偏見を追認する表現を用いなかったと信じている以上は、あとは読者の判断に委ねるしかない >とするものであった。さらに、差別の具体例をあげた私たちの指摘についても、朝鮮籍者の中には「北朝鮮支持者」がいる と述べ、それは、日本国籍者の中に日本政府支持者あるいは支持しない者がいることと<なんら変わることがない> とさえ言う。私たちが言っているのは、そんな次元の話ではまったくないのである。

 私たちは、『Go』という作品が民族差別を撃つものであると高く評価している。その中で「朝鮮籍」をめぐっての歴史的事実と認識について指摘しているのである。あまりにもずさんな再回答を前に、私たちは愕然としている。
 ここでは、1965年の10月26日付の法務省による政府見解を紹介する。

2、在日朝鮮人は、もと朝鮮戸籍に属し、日本に居住したまま、日本国籍を失い外国人となった特殊事情から、旅券または国籍証明書を所持していないので、便宜の処置として「朝鮮」という名称を国籍欄に記載したものである。この意味において「朝鮮」という記載は、かつて日本の領土であった朝鮮半島から来日した朝鮮人を示す用語であって、何らの国籍を表示するものではない
というものである。

 日本の敗戦後、在日朝鮮人は、1945年12月施行の衆議院議員選挙法の改正によって参政権を「当分の間」停止され、47年5月2日外国人登録令(昭和天皇最後の勅令)によって、「当分の間」外国人とみなすとされた。後者は、日本国憲法施行前日である。これによって、登録証の国籍欄には「朝鮮」という朝鮮半島出身者という意味の記号が付されたのである。しかし、時には日本国籍者と同様に取り扱われる場合もあったが、52年4月28日のサンフランシスコ講和条約の発効によって、一斉に外国籍にされたのである。国籍選択権については、在独オーストリア人とは異なり、日本では一時期論議された形跡はあるが、現実のものとはなっていない。国籍は選ぶことが出来なかったのである。 

 私たちは、反差別をテーマとする小説全体を問題にはしていない。日韓条約以降に生まれた若い世代に属する作者の認識の根っこにある歴史的事実を問うているわけであって、その誤認が、ひいては日本社会にひろく根深くある「誤解・偏見を追認」するものであると指摘しているのだ。この間、私たちの危惧は現実のものになっている。例えば、9月9日発売の『噂の真相』10月号に掲載された「直木賞金城一紀の封印された在日タブーの蹉跌」という文中では、「たとえば、冒頭に登場する主人公の在日韓国人少年の一家が国籍を北朝鮮籍から韓国籍に変えるという話は」云々と記されているように、朝鮮籍=「北朝鮮籍」の図式で、ものの見事に日本社会にある誤解・偏見を拡大させている。
 また、9月15日付『毎日中学生新聞』には、著者の写真入りで『Go』が紹介されているが、そこにはこうある。「生まれてから中学生まで朝鮮民主主義人民共和国の国籍で、民族学校に通っていた」と。ここでも、朝鮮籍=「朝鮮民主主義人民共和国籍」という誤解が拡大させられているのである。これらは、氷山の一角で、おそらく私たちの目のとどかぬところでさらに広がっていると推測される。
 このような誤解は、それだけにとどまらずに、前の国会に提出されようとしていた在日外国人の地方選挙権付与法案から「朝鮮籍」者が排除されていたり、就職の際に、「韓国籍」はイイが「朝鮮籍」はダメ、などという差別を生んでいるのである。そのような指摘に対する前述の日本籍者同様という回答も、見事に的外れとしか言いようがない。

 作者である金城一紀氏と宮田昭宏講談社文芸局長は、このような誤解を拡大した事実と差別の現実を直視してほしい。そして、私たちが求めるように、当該箇所を改訂するなり、解説文で補うなりの措置を早急にとることで、文学の社会的責任を自覚してもらいたいと考える。

2000年9月18日
最初にもどる


兵庫県教育委員会が「外国人児童生徒にかかわる教育指針」をだす
「兵庫在日韓国朝鮮人の教育を考える会」から、次のようなメールが送られてきました。
苦節20年。
兵庫県教委が以下の指針をだしました。
少し長くなって恐縮ですが、送付いたします。
全文は、こちら
最初にもどる


直木賞受賞作品「GO」の偏見を助長する表現の訂正要請
2000年8月1日
講談社社長    野間 佐和子 様
「GO」著者   金城  一紀   様
兵庫在日韓国朝鮮人教育を考える会事務局長
直木賞受賞作品「GO」の偏見を助長する表現の訂正要請
 貴社ますまご清栄のこととお慶び申し上げます。さらに、今回の金城 一紀 氏の直木賞受賞を心から祝福いたします。

  私たち兵庫在日韓国朝鮮人教育を考える会は、日本社会に残存する在日韓国・朝鮮人に対する、差別・抑圧・排外の状況を糾し、日本の学校で学ぶ、在日韓国・朝鮮人の生徒が自分の出自を隠すことなく、伸び伸びと学校生活が出来る状況の創出をめざして1980年2月の結成以来、約20年間にわたる活動を続けてきた、民間の教育研究団体です。
 
  さて、今度の直木賞受賞作品「GO」に読者に重大な誤解を与える表現がありますので、お知らせし、善処を要望いたします。それは「GO」第二刷7頁後ろから3行目以下の記述です。(第一・三刷も同じ)
 「日本にいてもいいけど、どちらかの国籍を選べ、と迫られたオヤジは朝鮮籍を選ぶことにした。理由は、北朝鮮が貧乏人に優しい(はずの)マルクス主義を掲げていることと、(以下略)」
 これは、歴史の事実ではありません。事実はオヤジも他の在日コリアンと同様、戦後まず日本政府により朝鮮籍とされ、50年に、「朝鮮」籍から「韓国」籍への変更が可能になったが、当時はそのような変更を申請する者は少数だったはずなのです。ところが、「どちらかの国籍を選べ、と迫られた」との記述は主語がありませんが、文脈から日本政府に迫られたと解釈でき、これは事実に反しています。さらにそれに続くオヤジの選択理由が、「朝鮮」籍=朝鮮民主主義人民共和国国籍=北朝鮮支持者という多くの日本人が持っている誤解・偏見を追認させることになっています。
 そのような誤解・偏見に立脚し「韓国」籍には地方参政権を付与するが、「朝鮮」籍には与えないという法案が国会を通過する寸前まできたり、「韓国」籍者の就職は認めるが、「朝鮮」籍者は受験させないという企業もでてきているのですから事は重大です。
 例え、文学作品であっても、事実に反した記述や表現によって、読者に誤解や偏見を植えつけ、それによって誤った認識が拡大再生産され、少数者が傷つくという事は許せない行為であると思います。もし万一、被差別部落の起源について、誤った認識を事実であるかのように記述した文学作品が出版されてしまった事態を想像して下さい。貴社はどういう対応をされるのか、著者はどうされるのか、を考えていただければ、それは理解していただけると思います。
 今回の「GO」は、この部分以外の筆者の説明・解説については、参考文献の内容を比較的分かり易く紹介する等、民族差別を解消する役割を果たす作品になっているだけに、この冒頭の説明文の事実誤認の記述が、他の記述の信憑性にまで悪影響を与えているのが、残念です。
 このような視点から、私たちは、野間佐和子 社長と、金城一紀氏に対して下記の要請を行ないます。


一、前述した、問題のある記述を、次版以後、歴史的事実即した表現に改められたい。

一、もし、その必要がないと判断されるのであれば、次版以後第一節の末尾、又は巻末に「朝鮮」籍=朝鮮民主主義人民共和国国籍=北朝鮮支持者という偏見・誤解を除去するための解説文を添付されたい。

一、表現の改訂又は解説文の添付にあたっては、事前にその内容について私たちと十分協議されたい。

一、上記の私たちの要請についての回答を、文書で8月15日までに送付されたい。

 

以上
参考資料 1. 2000年8月19日(土)発表予定「第21回全国在日朝鮮人(外国人)教育研究協議会研究集会 広島大会基調報告」より
 朝鮮籍とは、1947年5月2日、日本国憲法公布の前日、「大日本帝国憲法」下最後の勅令としての「外国人登録令」によって、外国人として管理される対象となった在日コリアンの国籍欄に「朝鮮」と記載されたものです。その後、49年8月15日、大韓民国が成立し、9月9日に朝鮮民主主主義人民共和国が成立しました。50年には、国籍欄の記載変更が認められ、「朝鮮」籍から「韓国」籍への変更が可能になり、外国人登録の国籍等として「朝鮮」(法的には記号)と「韓国」という2種類の記載になったのです。そして、52年のサンフランシスコ平和条約の発効により、在日コリアンの日本国籍が剥奪され現在に至っています。朝群籍=朝鮮民主主義人民共和国国籍とした認識は誤った認識であるのです。
参考資料 2. 毎日新聞1997年11月13日付 コラム
          「言葉には歴史と思いが」 読めば読むほど 校閲インサイド
          [上鶴 弘志 記者]等もご参照下さい
 
 
 
最初にもどる


石原都知事差別発言とテレビ朝日差別報道に対するとりくみ
兵庫在日韓国朝鮮人教育を考える会
差別発言の子どもたちへの影響

 ご存じのように、石原東京都知事は、4月9日、陸上自衛隊練馬駐屯地の創隊記念式典での挨拶の中で、「不法入国した多くの三国人、外国人が非常に凶悪な犯罪を繰り返している。(中略)すごく大きな災害が起きた時には大きな騒擾事件すらですね、想定される。(中略)災害の救急だけではなしに、やはり治安の維持も一つ皆さんの目的として遂行していただきたい」と挨拶した。そして10日・12日の発言でも「三国人」発言を繰り返した。 始業式が終わり、子どもたちが新しいクラス・学年への希望に胸をおどらせている、まさにその瞬間の発言であった。「これは放置できない」とまず考えた。そして、石原知事の思想性そのものを問題にすべきは当然であるが、他の自治体からの抗議ということもあって、差別発言に焦点を絞った抗議をしていこうと考えていた矢先、知事は14日になって「在日外国人の心を傷つけたのは私の本意ではなく、遺憾であります。(中略)今後はその言葉は一切使わぬように致します」との遺憾の意の表明があった。
 その二日後の朝、テレビ朝日の「サンデープロジェクト」において、朝鮮民主主義人民共和国を「北鮮」と呼称する、重大な差別発言をおこなった。「舌の根も乾かないうちに何事だ」それも「白昼堂々と、マスコミを通じて全国に対して」と怒りの声が会員から届けられた。辛淑玉さんからの情報では、関東ではフィリピン人やベトナム人の子どもが「三国人、三国人!」と虐められるという事件も発生しているという。せめて、抗議文なりを送ってこの状況に棹をさそうということになった。

抗議の柱とその反響

 「南鮮」「北鮮」は1980年2月27日の旺文社全国実力テストにおいて使用され、「兵庫考える会」等が抗議し、旺文社が各全国紙に謝罪広告を掲載するというとりくみや、1982年「朝日歌壇」欄に「北鮮」という差別表現が掲載され、それに対する東京在日韓国・朝鮮人生徒の教育を考える会のとりくみ等によって、現在では死語となっているものを、都知事が復活させた。これによって苦しむのは誰か。
 「三国人」も公開の場で使用される度に、強い指弾を受けてきた。「少年サンデー」誌の「おとこ道」における梶原一騎氏の表現、「プレジデント」誌における中内ダイエー社長(当時)の文章、そして東京都広報に転載された文章等、「三国人」という用語を使用した当事者と、関係したメディアは自らの過ちを認め、真摯に謝罪してきた歴史がある。さらに、いくつかの辞書・辞典もその用語の差別性に言及し、掲載を中止するようになり、いまだに注釈なしに「三国人」の語句を載せている出版社に対する抗議行動が昨年度から続いている。このような時代の流れを妨害する犯罪的行為である。
 また、「大きな災害が起きた時には大きな騒擾事件すら(中略)想定される」という発言は、阪神・淡路大震災の苦しみの中「国際連帯」の大切さを学び、日本人県民と外国人県民が手を組んで復興への努力を続けている震災被災者を冒涜するものでもある。
 知事のこれまでの「支那」発言、「在日北鮮」発言、2月都議会での「三国人」発言とあわせて考えると、謝罪・民族差別解消施策の必要性の表明を即刻行ない、引責辞任するべきである、というものが抗議の柱であった。
 そして、テレビ朝日にも、「番組を通じての謝罪」と「民族差別と差別表現を解消するための番組の製作と放映」を要請した。この要請文は、毎日新聞が全国版の記事にし、共同も全国配信し、韓国の「朝鮮日報」からも電話取材を受けるなど一定の反響をよんだ。

テレビ朝日の番組での謝罪と、その後

 当初、「石原氏はその場で北朝鮮と言い直しており(中略)討論全体の流れからみると、石原氏の発言は差別を前提にしたものではないと判断いたしております」と言い逃れをしていた「サンデープロジェクト」角田和夫プロデューサーも、私たちが全朝教を通じて全国的な問題にしていく姿勢を示すと、態度を軟化させてきた。
 そして、この問題での全国討議を考えていた5月11日付で「まことに申し訳なく思っており、次回(5月14日=全朝教総会当日)放送の中で、お詫びをしたいと考えております。」とファックスで返答してきた。そして、「テレビ朝日、石原発言で謝罪」という新聞報道もあり、5月14日の番組の最後に一応の謝罪が全国放映でなされた。
 しかし、「民族差別と差別表現を解消するための番組の製作と放映」については、まったく進展していない。そして、当の石原知事の辞任問題は、国会の「神の国」解散と「禊による選挙民の承認」という儀式をすませて、まったく忘れ去られようとしている。
 民族差別・排外事件のたびに、それによって最も苦しめられてきたのは、抵抗力の少ない純粋な子どもたちである。そして、人格形成の過程のなかで心が揺れ動いている子どもたちに大きな爪痕を残し続けてきたのである。
 このことを考えた時、教育研究団体としての全朝教(全外教)は、教育現場に依拠した意見表明等による差別事件への反撃を敏速にしていくことが求められていると思う。当面、インターネットの全朝教ホームページ等を利用した各地・各団体のとりくみをリアルタイムで交流することと、続発する差別事件に対する、各地のとりくみの協力体制を構築することが急務であると思う。

 

最初にもどる


石原「三国人」発言・柿本「支那事変」発言・森「神の国」発言に対する奈良のとりくみ
多文化共生フォーラム奈良
 4月9日、石原慎太郎東京都知事は陸上自衛隊練馬駐屯地創隊記念式典で「三国人、外国人が凶悪な犯罪を繰り返しており、大きな震災では騒擾事件も想定される。警察の力では限界があるので、みなさんに出動していただき、治安の維持も大きな目的として遂行してほしい」との重大な差別・排外煽動発言を行なった。
 私たちは、この発言に対して4月14日、石原知事宛の抗議文を送るとともに、18日、奈良平和人権センターとともに県解放センターで緊急抗議集会を持った。東京から朴慶南さんに来ていただき、東京のとりくみなどを話していただいた。
 集会には230余名の人々が参加し、石原知事への怒りの声が後を絶たない状態であった。石原知事へ謝罪・発言撤回・辞任要求文を集会名で送るとともに、柿本奈良県知事へ「石原発言」への見解と奈良県の在日外国人施策について質問書を提出した。
 その矢先、4月29日の奈良地方メーデーでの挨拶の中で知事は、県の施策として「戦争体験文庫」の収集をしていることに触れ、その中で「支那事変」なる言葉を使用した。
 私たちは、5月2日、柿本知事宛に日本のアジア侵略についての歴史認識、アジアの人々への差別意識を払拭するための施策、奈良県としての在日外国人施策を質す「抗議・要請文」を提出した。柿本知事からは「多文化共生フォーラム奈良」代表吉川弘宛に、5月11日付で回答文が送付されてきたが、その内容は極めて不十分なものであった。
 5月15日にあった神道政治連盟国会議員の会合での「日本は天皇を中心にした神の国」発言で、首相としての資質を問われた森首相は、6月3日、自民党奈良県連の緊急集会の席上、挨拶の中で「(天皇制を認めない共産党と連立して民主党は)どのようにして国体を守るのか」という、またも驚くべき発言をした。
 地方自治体・国の最高権力者によるこのような相次ぐ発言と、発言の責任を問われて辞任した人は一人もないという事実。この事実は、これまでにも植民地支配や侵略戦争を肯定する同様の発言が政府当局者から数多く出ていることと考えあわせると、単に発言者個人の「資質」の問題ではなく、日本の近現代史における政治・社会・文化のありようと深くかかわっていると考えざるを得ない。
 オーストリアで旧ナチを賛美する人物を党首とする政党が連立政権に加わったことに対して示されたEU諸国の強い拒否反応と、結果その党首が辞任に追い込まれたことと比較すると、歴史認識と人権意識において大きな落差がある。
 日本では、日本人自身による戦争責任と侵略戦争における日本の加害責任の追及は、ようやく1970年代に始まった。私たちの運動は、大きくはこの潮流の一環であると考えられるが、今日なお多数にはなっていない。
 6月8日、多文化共生フォーラム奈良は「多文化共生を考える奈良県集会〜石原都知事『三国人』発言、柿本奈良県知事『支那事変』発言、森首相『神の国』発言の背後にあるものを考える〜」をテーマにセミナーを開催した。講師に招いた田中宏さんは、アジア侵略を進めた日本の歴史について、現在までの間違った歴史認識と人権意識に言及していただき、私たちの課題について語られた。
 私たちのめざす多文化共生は、単なる異文化理解にとどまらず、不幸にもそのことを阻もうとする日本の政治・社会との闘いを抜きにしては達成できない。私たちは、在日外国人の人権保障と多文化共生をキーワードに今後も粘り強く運動を進めていく決意である。
最初にもどる


第6回全朝教(全外教)セミナーを終えて
 去る5月13日(土)広島市内にある広島県立生涯学習センターで、第6回全朝教セミナーを開催した。参加者は150人。セミナー終了後の全国交流会にも40人近い参加があり、盛況のうちに全日程を終了した。
 今回のセミナーは、8月の第21回全朝教広島大会のプレ・イベントとして企画したものであり、私たちとしても8月の広島大会に向けた重要なステップと位置付けていた。
 しかし、今年3月以来の広島県教育委員会の反動的な動き(同教組織潰し)によって広同教・高同教は混迷を極めており、広島県内からいったいどれだけの人が参加してくれるだろうか、という心配と、シンポジウムのテーマである「21世紀の多文化共生教育を考える」の「多文化共生教育」という言葉が広島県では十分に認知されておらず、在日コリアンの子どもたちへのとりくみを、すべての外国人の子どもたちへのとりくみに広げていきたいという私たちの意図が十分に伝わらないのではないかという懸念を抱えながらの開催であった。

 シンポジウムの内容は、4人のパネラーによるパネルディスカッションであった。前述のようにテーマを「21世紀の多文化共生教育を考える」としたが、当日の内容は、「多文化共生教育」を視野に入れながら、その前段として、在日コリアンの子どもたちへのとりくみが広島においてどのように進められてきたのか、その問題点と課題を明らかにすることに力点を置いた。セミナーを企画した時点では、21世紀の広島の教育を考えた時、「多文化共生」がキーワードになるとの思いから、問題提起のつもりでテーマを設定した。しかし、現在の広島の状況を考慮した結果、内容とテーマとに多少のずれが生じたのはやむをえないことであった。
 シンポジウムの中では、これまでの広島の教育実践について、いくつかの問題点が指摘された。パネラーの1人、広島在日コリアン保護者会代表・李鳳姫さんの「日本人教職員の問題は、在日コリアンの子どもたちや保護者と対等な関係を結ぶことができなかった点にある」という言葉は示唆的であった。

 私たちが在日コリアンの子どもにとりくむ場合、時として親(保護者)の言葉を絶対的なものと思い込み、無批判にそれを受容してしまうことが多々ある。在日コリアンといっても多様な価値観を持ち、さまざまな生き方や考え方がある中で、親(保護者)の言葉を絶対視することが必ずしも差別をなくすことにつながらない場合もある。子どもの進路(生き方)にとって何が一番よいのかを、学校と親が対等の立場で論議する必要があるという提起であった。

 さらには、府中中学校の児玉実さんからは、学校が子どもたちへのとりくみを、学校内だけで完結させようとすることの問題点が提起された。地域に開かれた学校づくりが、文部省をはじめとして、さまざまなところで論議される中、反差別や人権という視点からの開かれた学校づくりの実践には学ぶべきところが多かった。

 広島では数少ない在日コリアン教職員として教壇に立っている金涼一さんからは、自らの生い立ちや日本学校の中で圧倒的な少数者として生きてきたことが語られた。さらに、在日コリアン教職員から見た日本の学校の問題点も提起された。在日コリアンの子どもたちをどう育てていくのか。ここが私たちの出発点であり、このことの延長線上に「多文化共生教育」があることを確認しておきたい。

 広島の在日コリアンの子どもたちへのとりくみに焦点をあてた論議がなされた一方で、全朝教会長の藤原史朗さんからは、全国的な動きや実践例を通して、全朝教運動の成果の上に、これからの多文化共生教育を実践していかなければならないことが提起された。

 「多文化共生教育」をテーマにした研究集会(セミナー)の開催は、広島では初めてであった。内容的には、前述のようにテーマとは多少ずれたものになったが、広島での私たちのとりくみの問題と課題の一端を明らかにできたのではないかと思う。今後、このセミナーで明らかになった課題を受け、8月の広島大会で「多文化共生教育」へとつないでいく道筋を多くの参加者とともに論議していきたい。

最初にもどる


奈良・在日朝鮮人教育を考える会は、「多文化共生フォーラム・奈良」に名称変更をしました。
 近年、奈良県内にも新たに日本にやってきた外国人の数が増えてきました。そういった中で、学校現場では、「新渡日」の子どもたちの教育に関する課題が山積みしています。
 奈良・在日朝鮮人教育を考える会は1979年結成以来、在日朝鮮人の子どもたちにかかわる教育問題を主な課題として活動を続けてきましたが、「新渡日」の子どもたちの教育課題にもとりくみを広げるため、名称を「多文化共生フォーラム奈良」と変更しました。
最初にもどる


姫路でのとりくみ
兵庫県外教より、城東町補習教室でのとりくみが送られてきました。内容はこちら
 

最初にもどる


石原慎太郎東京都知事に抗議のメールを送ろう!
 このたびの石原慎太郎東京都知事の発言は、私たち在日朝鮮人(外国人)教育にかかわるものにとって、決して許すわけにはいきません。4月14日付で、東京都庁宛に抗議のメールを送りました。 内容はこちら
最初にもどる


全朝教(全外教)セミナーを終えて ―多文化共生教育の確かな歩みを!!―
 2月26日(土)、三重県教育文化会館大会議室において、全朝教(全外教)セミナーが開催された。県内外から約100人の教職員、行政職員などが参加した。
 開会行事では、藤原史朗・全朝教会長、川合幸夫・三重県外教会長が主催者として挨拶された。藤原会長は、「…三重県外教が設立され、組織的な活動が始まった。全朝教(全外教)研究大会の開催も近い将来実現されるだろう」と三重県外教にエールを送られた。また、全朝教(全外教)は、民族的自覚を高めアイデンティティを確立すること、子ども一人ひとりの多様性を大事にすること、進路を保障していくことを大きな柱にしてとりくんできたことをていねいに話された。そして、「日本の教育がぶつかっている問題点をいかに解決していくかというときに、人権教育を抜きにできない。私たちの外国人教育の営みを通して、二一世紀にはばたく教育を創りあげていきたい」と力強い言葉で締めくくられた。
 地元県外教を代表して、川合会長は、「人権の世紀を迎えるにあたって、多様化する社会の中で、多文化共生教育、在日韓国・朝鮮人をはじめとする外国人教育が追いついていない三重県の状況がある。昨年、三重県人権教育基本方針が策定され、それに基づいて、各学校でとりくみが始まっているが、課題も多く、三重県外教の活動に期待するところが多い」と県内の現状と課題を明らかにされた。
 つづいて、金井英樹・全朝教事務局長から基調提案が行われた。本セミナーのシンポジュウムの討議の柱にとどまらない、私たちがこれからとりくむ外国人教育の道筋や展望をも示されたものだった。
 多文化共生シンポジュウムは、三人のパネラーを迎え、奈良県外教の寺井秀登さんの軽快なコーディネートで進められた。日本の教育現場の中で、在日コリアンの子どもが「見えにくい」「見えなくさせられている」現実について、親として李美葉さんから、親と教師として李慶順さんから問題提起をいただいた。「新渡日」の子どもにかかわって先進的なとりくみのある神奈川県外連の山本重耳さんからは、他のお二人のパネラーから提起していただいた在日コリアンの子どもにかかわる課題と重ねながら、多文化・多民族教育の視点で問題提起をいただいた。詳しくは次号で紹介する。
 全朝教(全外教)セミナーが三重県で初めて開催されたことを記念して、次年度からは、多文化共生教育の学習の場として、三重県外教セミナーを実施していきたいと考えています。
最初にもどる


金八先生があやまる?
 問題になったのは、1月20日の放送分。
 私立高校の推薦入試を前にした生徒たちに対し、金八先生が、「面接によく出る質問チェック」として10項目程度を列挙した紙を黒板に張り出しました。そのなかに「志望の動機」や「将来の希望」などにならんで、「 家族構成及び状況」があり、金八先生が口頭で「家族構成について聞かれたりします」と念押しをしました。
 TBSによると、スタッフが放送前、東京都立高校数校に「入試で家族構成を質問していいかどうか」とたずねたところ、「原則はいけないが、話の流れで聞く先生もいる」という回答を得たため、放送したとのことです。
 この番組を見た兵庫県明石市の県立高校教諭神谷重章さんがTBSに対して抗議をしました。
 抗議を受けたTBSは3月の最終回までに番組の中でまちがいを正す方向で検討しているとのことです。
 TBS制作局の柳井満プロデューサーは「差別意識などはなかったのだが、認識不足だった。教訓を生かし、よりよい番組づくりにつとめたい」と話しているとのことです。
最初にもどる